派遣で働き始めたものの、「契約終了まであと2か月あるけれど、もう続けるのがつらい」と感じることがあります。
仕事内容が思っていたものと違う、人間関係がきつい、体力的に続けるのが難しいなど、理由はさまざまです。
ただ、派遣の場合は契約期間が決まっていることも多いため、辞めたいと思っても「契約途中では辞められないのでは?」「違約金を請求されたらどうしよう」と不安になりますよね。
契約期間が残っている場合は、無期雇用と同じ感覚で「何日前に言えば辞められる」と考えず、まず自分の雇用契約を確認することが大切です。
そのうえで、満了まで続けることが難しい事情があるなら、派遣会社へ早めに相談していきます。
すぐに「絶対に辞められない」と決めつける必要はありません。まず何を確認し、どのように相談すればよいのか順番に整理していきましょう。
この記事でわかること
- 派遣の契約途中で辞めたい時に最初に確認すること
- 有期契約の途中退職を考える時の基本的な見方
- 派遣会社へ相談する順番
- 契約途中で辞めたい時の伝え方
- 違約金が心配な時に確認したいこと
- 話がまとまらない場合の相談先
派遣の契約途中で辞めたい時はまず雇用契約を確認する
派遣先で働いていると、勤務先の会社との契約を途中でやめるような感覚になりやすいですが、まず整理したいのは「誰と雇用契約を結んでいるのか」という点です。
一般的な労働者派遣では、派遣労働者と雇用関係にあるのは派遣先ではなく派遣元、つまり派遣会社です。
派遣先は日々の仕事について指示を出す立場ですが、あなたを雇用している会社とは別です。
そのため、辞めたいと考えた時は、派遣先とのやり取りだけを見るのではなく、派遣会社と結んでいる雇用契約の内容を確認します。
最初に確認したいもの
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 就業条件明示書
- 派遣会社の就業規則
特に、契約開始日・終了日、契約期間、退職に関する記載を確認しておきましょう。
有期雇用か無期雇用かを確認する
派遣社員といっても、すべての人が同じ契約をしているわけではありません。
「○月1日から○月31日まで」のように期間が決まっている有期雇用の人もいれば、派遣会社と期間を定めない雇用契約を結んでいる人もいます。
また、派遣先での就業期間と、派遣会社との雇用契約期間が必ず同じとは限りません。
「今の派遣先を離れること」と「派遣会社を退職すること」が同じなのかどうかも、先に整理しておくと話が分かりやすくなります。
有期契約は「2週間前に言えば辞められる」とは限らない
退職について調べると、「2週間前に伝えれば辞められる」という情報を見かけることがあります。
これは期間の定めがない雇用契約について説明される時によく出てくる考え方です。
一方、3か月や6か月など契約期間をあらかじめ決めて働いている場合は、同じように考えられるとは限りません。
有期労働契約は、一定期間働くことを前提として結ばれている契約だからです。
そのため、「あと2週間だから辞めます」と自己判断するより、現在の契約内容と事情を整理したうえで派遣会社へ相談する方が安心です。
やむを得ない事情がある場合は途中で契約を終了できることがある
期間を決めて結んだ雇用契約でも、民法では、やむを得ない事由がある場合に契約期間の途中で解除できる仕組みが定められています。
ただし、どのような事情なら該当するかは、状況によって判断が変わります。
たとえば、体調や家庭の事情、仕事を続けることが難しくなった事情があったとしても、「この理由なら必ず途中退職できる」と一律には判断できません。
大切なのは、「辞めたい」という一言だけで終わらせず、なぜ満了まで働くのが難しいのかを派遣会社へ説明することです。
1年を超える有期契約には別の仕組みもある
厚生労働省では、一定の例外を除き、1年を超えて3年以内の有期労働契約を結んだ場合、働き始めてから1年が経過すれば、使用者へ申し出ることで退職できる仕組みを案内しています。
ただし、派遣では数か月単位の契約も多く、この仕組みがすべての人に当てはまるわけではありません。
「長い契約をしているから自分も該当するかもしれない」という場合は、契約期間や契約の種類を確認したうえで、派遣会社や労働相談窓口へ確認すると安心です。
契約途中で辞めたい時は派遣会社へ先に相談する
もう働き続けるのが難しいと感じたら、まず連絡したいのは派遣先ではなく派遣会社です。
派遣先の上司に普段からお世話になっていると、先に事情を説明したくなるかもしれません。
ただ、雇用契約について話を進める相手は派遣会社です。
先に派遣会社の担当者へ相談し、派遣先への説明を誰がどのように行うのか確認しておくと、話がこじれにくくなります。
担当者へ連絡する前に、次の3点を簡単に整理しておくと話しやすくなります。
- 現在の契約終了日はいつか
- 満了まで続けるのが難しい理由は何か
- 自分としてはいつ頃までなら勤務できそうか
すでに体調や生活への影響が大きく、勤務できる時期を決めること自体が難しい場合は、その状況をそのまま伝えて相談しましょう。
派遣会社に契約途中で辞めたいと伝える言い方
契約途中なので言いづらいと感じるかもしれませんが、最初から強い言い方をする必要はありません。
まずは「途中で辞めたい」という希望と、「満了まで続けることが難しい」という状況を伝えます。
たとえば、次のような言い方です。
「現在の契約が○月○日までなのは承知していますが、事情があり、契約満了まで勤務を続けることが難しい状況です。途中での退職について一度ご相談させていただきたいです。」
仕事内容や職場環境に原因がある場合は、必要に応じて具体的に伝えても構いません。
たとえば、
- 事前に聞いていた仕事内容と実際の業務がかなり違う
- 勤務条件について続けるのが難しい問題がある
- 職場環境について相談していたが改善されていない
といった事情があるなら、「つらいです」だけではなく、何が起きているのかを整理して伝えると派遣会社も状況を把握しやすくなります。
事前に聞いていなかった仕事を任されて困っている場合は、こちらの記事も参考になります。
派遣で聞いていない仕事を頼まれたら?契約外業務か迷ったときの確認方法
「契約満了まで働いてほしい」と言われたらどうする?
派遣会社へ相談しても、「契約期間が残っているので満了までお願いします」と言われることは考えられます。
その場合も、その場ですべてを決める必要はありません。
まず、自分が実際にどこまで勤務できるのかを整理します。
勤務条件を変えれば続けられるのか考える
退職したい理由によっては、派遣先を辞める以外の方法で状況を変えられることもあります。
たとえば業務量、仕事内容、勤務時間、派遣先での人間関係など、特定の問題が原因なら、派遣会社に間に入ってもらうことで働きやすくなる可能性があります。
一方で、条件を変えても続けることが難しいのであれば、そのこともはっきり伝えます。
辞めるか続けるか自体をまだ決めきれていない場合は、先に派遣を辞めるべき?続けるべき?判断基準と後悔しない選び方で状況を整理してみてください。
途中退職できないと言われても理由を確認する
「契約だから辞められません」とだけ言われた場合は、そこで会話を終わらせず、現在の契約内容ではどのような扱いになるのか確認してみましょう。
たとえば、
「契約期間中なのは理解しています。現在の事情を踏まえても途中での退職は難しいということでしょうか。契約書のどの部分を確認すればよいか教えていただけますか」
と聞く方法があります。
会社の説明だけでは判断できない場合は、外部の労働相談窓口へ確認する方法もあります。
契約途中で辞めたら違約金を請求される?
契約期間が残っていると、「途中で辞めたら罰金を払うのでは」と心配になる人もいるでしょう。
労働基準法では、労働契約に違反した場合について、使用者が違約金を設定したり、損害賠償額をあらかじめ決めたりすることは禁止されています。
そのため、「契約期間中に辞めたら一律○万円を支払う」といったペナルティをあらかじめ決めておくことは認められていません。
ただし、これは「退職に関連する損害について、どのような場合でも会社が何も請求できない」という意味ではありません。
実際に損害が発生した場合の扱いは個別事情によって変わるため、高額な支払いを求められたり、契約書の内容について不安があったりする場合は、その場で支払いを約束せず、労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどで確認した方が安心です。
契約途中で辞めたい時に避けたい行動
派遣会社へ何も言わず出勤しなくなる
つらさが限界に近いと、「もう明日から行きたくない」と思うこともあるでしょう。
それでも連絡できる状態であれば、まず派遣会社へ現在の状況を伝えてください。
無断で出勤しなくなると、派遣会社も状況を把握できず、派遣先との調整も難しくなります。
派遣先だけに退職を伝える
雇用関係にある派遣会社を通さず、派遣先へ直接「辞めます」と伝えて話を進めるのも避けた方がよいでしょう。
派遣会社へ相談したうえで、派遣先への説明方法を確認します。
契約書を見ずに「絶対辞められない」と思い込む
契約期間が書かれているだけで、「何があっても最終日まで働かなければいけない」と考えてしまう人もいます。
しかし、途中で勤務を続けられなくなった事情や契約内容によって、確認すべきことは変わります。
反対に、「2週間前なら必ず辞められる」と決めつけるのも避け、まず自分の契約を確認しましょう。
派遣会社と話がまとまらない時の相談先
派遣会社へ事情を伝えても話を聞いてもらえない、契約内容について説明が食い違う、違約金の話をされて不安になったなど、自分だけでは判断しにくい場合があります。
そのような時は、厚生労働省の総合労働相談コーナーなど、外部の窓口へ相談することもできます。
総合労働相談コーナーでは、解雇や雇止め、労働条件、いじめ・嫌がらせなど、幅広い労働問題について相談を受け付けています。
法律に違反しているかどうか自分では分からない段階でも相談できるため、
- 契約途中で辞めたいが派遣会社と話が進まない
- 契約書の内容をどう見ればよいか分からない
- 違約金のような支払いを求められている
- どの相談先へ行けばよいか分からない
といった場合に利用を検討できます。
派遣会社そのものの対応に不満がある場合は、派遣会社の対応が悪い…無視・連絡が遅いときの対処法と判断基準も参考にしてください。
今できることを順番に整理する
契約途中で辞めたい時は、「辞められる・辞められない」の二択だけで考えると不安が大きくなりやすいです。
まずは次の順番で確認してみてください。
- 雇用契約書や労働条件通知書を用意する
- 有期雇用か無期雇用か確認する
- 契約終了日と退職に関する記載を見る
- 満了まで続けるのが難しい理由を整理する
- 派遣会社の担当者へ相談する
- 必要なら勤務終了時期について調整する
- 判断できない点は外部の相談窓口へ確認する
契約途中だからと一人で抱え込まず、「今の契約はどうなっているのか」「自分の事情ではどのような対応が考えられるのか」を一つずつ確認していくことが大切です。
まだ「辞めたいけれど、本当に辞めていいのか」で止まっている場合は、派遣を辞めたいのに辞められない理由|決断できない人の心理と対処法もあわせて読んでみてください。
まとめ
派遣の契約期間が残っている状態で辞めたい時は、まず派遣会社との雇用契約を確認しましょう。
有期雇用の場合、期間の定めがない契約と同じように「何日前なら大丈夫」と単純には判断できません。
一方で、契約途中だからどのような事情があっても辞められない、と決めつける必要もありません。
満了まで勤務することが難しい事情があるなら、現在の契約期間、辞めたい理由、勤務できそうな時期を整理したうえで派遣会社へ相談してみましょう。
また、契約途中で辞めたことに対する違約金や損害賠償額を、あらかじめ一律に決めておくことは禁止されています。ただし、実際の損害についての扱いは個別事情によって変わるため、不安な請求を受けた場合は外部窓口へ確認することも大切です。
すぐに答えを出せなくても、契約書を確認して派遣会社へ事情を伝えるところから状況は整理できます。
退職する方向で話がまとまった後の手続きや生活が不安な場合は、派遣を辞めたあと何をすればいい?退職後の手続きと不安を減らす流れも確認しておくと、次にやることを整理しやすくなります。

