派遣先から「来週は会社都合で休みです」「この日は出勤しないでください」と言われたら、給料がどうなるのか不安になりますよね。
特に、派遣会社から「有給を使うか、欠勤にしてください」と言われると、派遣先の都合なのに自分の有給を減らさなければならないのか、納得しにくいこともあると思います。
ただし、休みになった理由や契約上の勤務日、派遣元の対応によって、有給・欠勤・休業手当のどれに当たるかは変わります。「派遣先が休みだから仕方ない」と決めつけず、まず派遣会社に扱いを確認することが大切です。
この記事でわかること
- 派遣先の都合で休みになったときに最初に確認すること
- 有給・欠勤・休業手当の違い
- 休業手当の対象になる可能性があるケース
- 派遣会社へ確認するときの具体的な言い方
- 説明に納得できない場合の相談先
派遣先の都合で休みになったら、まず勤務予定日だったか確認する
最初に確認したいのは、休むよう言われた日が、もともと所定労働日だったのかという点です。
派遣先が休みでも、最初から契約書や勤務カレンダーで休日と決まっていた日であれば、通常はその日に働く予定がなかったことになります。一方、出勤予定だった日を後から「仕事がないので休んでください」と変更された場合は、単なる休日とは分けて考える必要があります。
| 休みになった状況 | 最初に見るところ | 考えられる扱い |
|---|---|---|
| 契約時から休日だった | 雇用契約書・勤務カレンダー | 通常の休日 |
| 出勤予定日が後から休みになった | 休業の理由・派遣元の説明 | 有給、欠勤、休業手当など |
| 派遣先は休みだが別の仕事を案内された | 仕事内容・勤務地・勤務条件 | 別の就業機会として勤務 |
派遣社員の雇用主は派遣先ではなく派遣会社です。
派遣先から休みを伝えられた場合でも、給料、有給、欠勤、休業手当について確認する相手は、基本的に派遣元である派遣会社になります。
有給・欠勤・休業手当は何が違う?
派遣先の都合で休みになったときは、主に「有給休暇」「欠勤」「休業手当」のどれとして処理されるのかを確認します。
有給休暇として休む場合
有給休暇を使えば、休んだ日も一定の賃金が支払われます。ただし、その分だけ自分の有給残日数は減ります。
自分が希望して有給を取得するのであれば分かりやすいですが、派遣会社から一方的に「有給を使ってください」と言われた場合は、どの制度に基づく扱いなのかを確認した方が安心です。
年次有給休暇は、原則として労働者が時季を指定して取得する制度です。一方で、労使協定に基づく計画年休や、年10日以上の有給が付与される人について、会社が本人の意見を聴き、その意見を尊重したうえで時季を指定する仕組みもあります。
そのため、次のように聞いてみてください。
「今回の有給取得は、私の申請として扱われるのでしょうか。それとも計画年休や会社の時季指定に当たるのでしょうか」
欠勤として休む場合
欠勤扱いになると、時給制や日給制では、その日の賃金が支払われないことが一般的です。月給制でも、契約や賃金規程によって欠勤控除が行われる場合があります。
しかし、もともと勤務予定だった日を派遣先や派遣会社の事情で休むことになったのに、説明なく欠勤扱いにされるのであれば、なぜ本人都合の欠勤になるのかを確認した方がよいでしょう。
休業手当が支払われる場合
労働基準法では、使用者の責任による休業の場合、使用者は休業期間中の労働者に平均賃金の60%以上の休業手当を支払うと定めています。
派遣社員の場合、この「使用者」に当たるのは派遣会社です。派遣先で仕事がなくなったとしても、休業手当が必要かどうかは、派遣元が別の就業先を確保できたかなども含めて判断されます。
なお、平均賃金の60%は、単純に「時給×勤務予定時間の60%」とは限りません。平均賃金は、原則として直前3か月間に支払われた賃金などを基に計算されます。
派遣先都合なら必ず休業手当が出るとは限らない
派遣先の事情で休みになったからといって、すべてのケースで休業手当が支払われると断定することはできません。
休業手当の対象になるかは、休みになった原因、派遣元が別の仕事を用意できたか、雇用契約や就業規則にどのような定めがあるかなどによって変わります。
厚生労働省は、派遣労働者の休業について、派遣先だけでなく派遣元について使用者の責任に当たるかを判断すると案内しています。派遣元が別の事業場へ派遣できる可能性なども、判断材料になります。
「派遣先が休みなので休業手当はありません」という説明だけで終わった場合は、判断理由をもう少し詳しく聞いてみましょう。
最終的な扱いは個別事情によりますが、派遣先が休業したことだけで、自動的に無給になるとは限りません。
有給を使うよう言われたときに確認したいこと
有給を使えば収入は減りにくいため、生活面では助かることもあります。ただ、後で使う予定だった有給が減るため、納得しないまま処理されると困りますよね。
派遣会社から有給取得を提案されたら、次の点を確認してみてください。
- 有給を使うかどうかは自分で選べるのか
- 使わない場合は欠勤なのか、休業手当の対象を検討するのか
- 計画年休として定められた日なのか
- 会社の時季指定による有給なのか
- 有給残日数が足りない人はどう扱われるのか
- 今回使った有給は何日分として記録されるのか
特に、計画年休として一斉に有給を使う場合は、労使協定などの手続きが関係します。また、有給の日数が少ない人を一斉休業させる場合、特別休暇や休業手当などの対応が必要になるケースもあります。
契約終了が近く、有給残日数も気になっている場合は、派遣の契約終了で有給が残っている時の確認方法もあわせて見ておくと整理しやすいです。
派遣会社へ連絡する前に手元で確認するもの
派遣会社に問い合わせる前に、次の書類や記録を集めておくと、話が進みやすくなります。
- 雇用契約書
- 就業条件明示書
- 勤務カレンダーやシフト表
- 派遣先や派遣会社から届いた休業の連絡
- 有給休暇の残日数
- 就業規則や賃金規程
- 直近の給与明細
電話で連絡を受けた場合は、日時、相手の名前、言われた内容をメモしておきましょう。
「派遣先が休みと言った」だけでなく、「いつの勤務がなくなったのか」「有給か欠勤と言われたのか」「休業手当について説明があったか」まで残すと、後から状況を説明しやすくなります。
派遣会社に聞くときのポイント
派遣会社へ連絡するときは、「納得できません」と感情だけを伝えるより、確認したい項目を分けた方が返答を得やすくなります。
最初に聞きたい5つのこと
- その日は契約上の所定労働日か
- 休みになった理由は何か
- 派遣元として別の就業機会を検討したか
- 有給、欠勤、休業手当のどの扱いになるか
- 給与明細にはどの項目名で記載されるか
有給か欠勤と言われたときの聞き方
次のように伝えると、責めすぎずに必要な説明を求められます。
派遣先の都合で休みになると伺いました。もともと勤務予定日だったため、給与の扱いを確認したいです。
有給を使わない場合は欠勤扱いになるとのことですが、休業手当の対象になるかについては、どのように判断されていますか。
あわせて、今回の有給取得が本人の申請、計画年休、会社の時季指定のどれに当たるのかも教えていただけますでしょうか。
メールで記録を残したいときの書き方
○月○日の休業について、給与処理を確認させてください。
当日は勤務予定日でしたが、派遣先の都合により休みになると伺っています。有給を使用しない場合は欠勤扱いとなるのか、休業手当の対象について検討されているのかをご回答いただけますでしょうか。
また、給与明細上の記載項目についても、あわせて教えていただけると助かります。
派遣会社がなかなか返答してくれない場合は、派遣会社の対応が悪いと感じたときの確認方法も参考にしてください。
給与明細が出たら確認するところ
事前に説明を受けても、実際の給与処理が同じになっているとは限りません。給与明細が出たら、次の項目を確認しましょう。
- 出勤日数と欠勤日数
- 有給取得日数
- 基本給や時給分の控除
- 休業手当の記載
- 有給残日数
説明では休業手当と聞いていたのに欠勤控除だけがある場合や、有給を申請していないのに残日数が減っている場合は、早めに派遣会社へ確認してください。
給与明細だけでは計算方法が分からない場合は、「対象日」「計算の基礎になった平均賃金」「支給率」を聞くと確認しやすくなります。
派遣会社の説明に納得できないときの相談先
担当営業に聞いても説明があいまいな場合は、派遣会社の支店責任者、スタッフ相談窓口、本社窓口などへ確認する方法があります。
それでも整理できない場合は、公的な窓口へ相談することもできます。
- 都道府県労働局の需給調整事業担当:派遣制度や派遣会社の対応について相談したい場合
- 労働基準監督署:休業手当や賃金の支払いについて確認したい場合
- 総合労働相談コーナー:どこへ相談すべきか分からない場合
- 労働条件相談ほっとライン:平日夜間や土日祝に労働条件を相談したい場合
相談するときは、雇用契約書、就業条件明示書、勤務予定が分かる資料、派遣会社とのメール、給与明細などを手元に用意しておくと状況を伝えやすくなります。
休業手当の対象になるかは個別事情によって変わるため、会社や派遣会社の説明だけで判断しにくいときは、窓口で確認した方が安心です。
派遣先には直接強く言わず、まず派遣会社を通す
急に休みを言い渡されると、派遣先へ直接理由を問いただしたくなることもあります。しかし、給与を支払う雇用主は派遣会社です。
派遣先の担当者に確認する場合も、まずは派遣会社へ連絡し、誰がどのように確認するのかを相談した方が、話が食い違いにくくなります。
また、休みの扱いが決まっていないからといって、自分の判断で出勤したり、連絡せず休んだりするのは避けましょう。勤務の指示は守りつつ、給料の扱いを文章で確認することが大切です。
休業中に契約とは異なる仕事や勤務地を案内された場合は、条件を確認してから返答してください。仕事内容に違和感があるときは、派遣で聞いていない仕事を頼まれたときの確認方法も参考になります。
今できる行動を順番に整理
- 休みになる日が勤務予定日だったか確認する
- 休業の連絡をメールやメモで残す
- 有給残日数と契約書を確認する
- 有給・欠勤・休業手当のどの扱いになるか派遣会社へ聞く
- 有給を使う場合は、どの制度による取得か確認する
- 給与明細が出たら、説明どおりに処理されているか見る
- 説明に納得できなければ、派遣会社の別窓口や公的機関へ相談する
すぐに「おかしい」と決めつける必要はありませんが、収入や有給に関わることなので、あいまいなままにしない方が安心です。
まとめ
派遣先の都合で休みになったときの給料は、もともとの休日なのか、勤務予定日を後から休業にされたのかによって見方が変わります。
出勤予定だった日を休むよう言われた場合は、有給・欠勤・休業手当のどの扱いになるのかを派遣会社へ確認しましょう。
派遣社員の雇用主は派遣会社です。派遣先が休みになったことだけで、必ず無給になるとは限りません。一方で、休業手当の対象になるかは、休業の理由や派遣元が別の就業機会を用意できたかなど、個別事情によって判断が変わります。
まずは契約書、勤務カレンダー、休業の連絡、有給残日数をそろえ、派遣会社へ文章で確認してみてください。説明に納得できない場合は、自分を責めすぎず、労働局や労働基準監督署など別の窓口で確認することも大切です。

